あいのわ ダスキン愛の輪基金

2015年11月15日

第34期個人研修派遣生 前田健成さん 研修報告

私の研修テーマは「聴覚障がいLGBT」です。LGBTのLはレズビアン(女性同性愛者)、Gはゲイ(男性同性愛者)、Bはバイセクシャル(両性愛者)、Tはトランスジェンダー(生まれたときに法律的・社会的に割り当てられた性別にとらわれない性別のあり方を持つ人)の略です。私の研修先であるオーロニ大学は、アメリカのカリフォルニア州にあるサンフランシスコから電車で1時間半離れたフリーモントにあります。2015年1月10日に住み、通い始めてから、あっという間に残り2ヶ月となりました。 その大学にある聴覚障がい者向けプログラムで英語を学び、アメリカ手話使って先生や学生と交流しました。そのプログラムの一環で、聴覚障がいLGBTによる講演会が開かれました。また、大学の教員、高校を卒業したばかりの聴覚障がい学生、アメリカ手話を学んでいる健聴学生に私がゲイであることを伝えても「あっそうなの」という形で肯定的であることに驚きました。なぜなら、10ヶ月前に日本にいた時、「ストレート(異性愛者)に戻れないの?」「顔立ちがいいのにゲイで勿体無い!」というような否定的発言をたくさん受けてきたからです。セクシャルに関するストレスが全くない環境でアメリカ生活を気持ち良く過ごすことができました。

またオーロニ大学で培った語学力を活かして、聴覚障がいLGBTとの交流に積極的に参加してきました。聴覚障がいLGBTのみんなはとても生き生きとしていて、ゲイである私が夢見ていた姿でもありました。「法律の下」で結婚している人、聴覚障がいを持つ「養子」を持っている人、「遺伝子学」を通してゲイ夫夫(ふうふ)のDNAを持った子どもを作りたいと考えている人・・・。 保守的な日本から見たらそれらは常識外れで「不可能」です。もちろん、アメリカでも多くの批判や議論を重ねていますが・・・「可能」なのです。 私はダスキン愛の輪の個人研修生として選ばれ、それをきっかけに2014年5月に家族にゲイであることをカミングアウトしました。23歳の時に10人前後の友達にカミングアウトしていましたが、28年間ずっと家族や社会に対して、怯え、恐れ、隠して生き続けてきました。それなのに、アメリカ聴覚障がいLGBTの人たちは堂々と街の中で、恋人同士手をつないで歩き、自由な恋愛をしている。結婚もでき、子どもを持つことも「出来る」。来たばかりの頃はそれがカルチャーショックであり、とにかく焼きもちを妬いて仕方ありませんでした。それと同時に、彼らが私のロールモデルになり、ゲイとして「生きる力」を沢山貰いました。そんなカリフォルニア州ですが、2015年6月26日に連邦最高裁判所の判決により、全50州に同性婚が合法化されたばかりです。 日本に帰国したら、研修テーマである「聴覚障がLGBTの立場から社会への理解普及および情報獲得しやすい環境づくり」について、何か一つアクションを起こしたいと考えています。最後に、2011年9月に14歳の少年がゲイであることを理由に、いじめを苦に自殺したジェイミーの言葉を贈ります。「It Gets Better, I promise」(物事や状況は良くなると約束します)

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