あいのわ ダスキン愛の輪基金

2017年07月01日

第36期研修派遣生 研修報告

重田竜佳さん大藪光俊さん髙橋菜美子さん

第36期研修派遣生 重田竜佳さん 研修報告

我々人間はみな同じ人類であるにもかかわらず、差別という現象は何故発生するのでしょうか。人種・性別・言語などの特性あるいは区別によって我々の間に差異が生起する中で、差異が差別の根拠となるのでしょうか。差別の原因は他にもあるのでしょうか。差別から人々を解放して差異を肯定する社会を目指すならば、国際化や少子高齢化などによって多様化が進行するこの社会の新たな課題も踏まえつつ、基本的人権をどのように保障していくかという問題に突きあたると私は考えます。言い換えれば、「全ての人々が快適に暮らせる社会をどのように設計するか」という永遠のテーマに向きあうということです。

私はこのテーマを研究するために、多民族国家であり日本とは異なる差別禁止アプローチをとっているアメリカを研修国とし、「差別と不平等の発生メカニズムと公共政策のあり方に関する研究」を研修テーマとして設計しています。一例として、教育政策と社会政策の実態・事例の研究を目的に、特殊教育に関する教育機関であるSanta Clara County Office of Educationで研修を受けています。そこでは、アメリカ全体の教育分野を含む公共政策の実態・問題・課題の把握と事例研究を行っています。 日本とアメリカは歴史・制度・文化など異なるため、帰国後は両国の特性を勘案したうえで、 日米比較の視点など研修で得た実際的な知識・経験を活用して、冒頭のテーマの研究を進めつつ施策・提言の推進を目指したいと考えています。

第36期研修派遣生 大藪光俊さん 研修報告

現在、私はアメリカ・シカゴにあるAccess Livingという自立生活センターにおいて、障害者の生き方の多様性を模索しながら研修に励んでいます。障害者の自立生活運動の発祥の地はアメリカのバークレーという町ですが、現在ではAccess Livingが全米で最も盛んで勢いのある自立生活センターの一つであると言われています。 正直なところ、シカゴを訪れるまでは、アメリカでは障害者の地域での自立生活が当然のごとく行われていると思っていたのですが、現実はそうではありませんでした。とりわけ、日常生活において多くの支援を必要とする重度障害者は、いまだにその大半が養護施設や親元での生活を余儀なくされているようです。さらに、アメリカの現政権は、Medicaid (障害者の生活を支えている保険制度) の予算を削減しようとしており、もし実際に予算が削減された場合、せっかく養護施設を離れ地域での一人暮らしに成功している障害者が、またもや養護施設へ戻らなければならないという状況になりかねません。

このMedicaidの予算削減に反発し、障害者の権利および生活を守るために、ADAPTと呼ばれる障害当事者グループの全米規模の権利擁護運動がワシントンD.C.で行われ、私もそれに参加しました。全員で道路上に座り込み、警察に逮捕されるまで声を上げ続けるというADAPTのパワーに圧倒されると同時に、自分も障害を持っている人のために全身全霊を尽くせるような人間になりたい、と強く感じさせられた素晴らしい経験でした。

第36期研修派遣生 髙橋菜美子さん 研修報告

世界一幸福な国であり福祉大国でもあるデンマークで「障害者が幸せに生きる方法」を勉強しています。私の通うエグモントホイスコーレン校は、障害のある学生と障害のない学生が共に人生を学ぶ全寮制の学校です。 〈 日々のスケジュール 〉 07:45~ 朝食 08:30~ 全校朝会 09:00~ 1限 10:30~ 休憩 11:00~ 2限 12:30~ 昼食 14:00~ 3限 15:30~ フリータイム 18:00~ 夕食

授業はスポーツから性教育、アートの授業までさまざま。障害の有無を問わず全員同じ授業を受けることによって、助け合いやお互いへの理解を深めています。また、障害のある学生へのヘルパーは障害のない学生が行っています。無資格でもヘルパーになれるデンマークならではの制度。ヘルパーをしている学生には自治体から給与が支払われます。 また、学校生活を通して中東を訪問したり、同国の小中一貫校を訪問したり、自立生活を送る重度障害者の方にインタビューを行っています。 12月の帰国まで折り返し地点。この半年間は、幸福度が高いデンマークの国民性を肌で学んできました。障害の有無を問わず、デンマークは「生きやすい」国です。それは福祉政策だけではなく、教育制度やワークライフバランスの整った働き方といった国の根幹の部分がしっかりしているから。国民一人一人が「心地よい社会とはなにか」「豊かな人生とは何か」を考えており、国の政策に反映されています。研修後半は、デンマーク人へのインタビューを積極的に行い、社会福祉制度をより深く学んでいきます。

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