あいのわ ダスキン愛の輪基金

2018年07月01日

第38期研修派遣生 研修報告

齋藤智子さん宮城千恵子さん森雄大さん

第37期研修派遣生 齋藤智子さん 研修報告

3年前に難病を発症して障がい者になるまで企業で人事として働いていたことから、日本における障がい者雇用の改善に貢献したいと強く思っています。 雇用改善の為には、一つ一つの雇用現場をより良いものにしていくことに加えて、国内の法整備や世論の醸成等の包括的なアクションも不可欠だと考えています。車の両輪のようなこれら二つのアプローチを学ぶため、現在はニューヨークの国連開発計画(UNDP)本部で研修に励んでおり、10月からはロンドンの障がい者支援団体で雇用現場改善のための具体的な施策を学ぶ予定です。

国連が1981年に提唱した国際障害者年を機に「ダスキン愛の輪基金」が設立されたり、2006年に国連総会で採択された障害者権利条約に批准するために日本政府が障害者基本法や障害者差別解消法を成立させたり等、障がい者の権利拡大とよりよい暮らしを実現させるためには、国連の活動はとても影響力があるものだと感じています。UNDPでは国連における障がい者支援について学びながら、障がい者だけでなく国籍やジェンダー・LGBTI等も含めた広い意味でのダイバシティについて理解を深めています。その一方で、障がいがあっても健常者と同様に自分の持てる力を発揮して組織に貢献ができることを証明するために幾つかの人事プロジェクトに参画しています。

またニューヨークをベースにしながら、5月には2週間ほどデンマーク コペンハーゲンの国連オフィスに滞在する機会もありました。アメリカ、デンマーク、そして秋からは英国での経験をすることで、複数の国における障がい者の生活・ダイバシティを学べることは非常に有意義な学びだと感じています。

第37期研修派遣生 宮城千恵子さん 研修報告

私はアメリカ合衆国アリゾナ州ツーソンにある自立生活センター「DIRECT」を拠点に、「ピアカウンセリングとエンパワメント」を中心に学んでいます。 ツーソンは気候も人もとても暖かく気軽に声をかけられます。 その多くが「何か手伝うことはありますか」と選択を任せてくれることに加え、公共交通機関のアクセスのしやすさ、人の目が日本と異なることは知ってはいましたが、体験するとその心地よさに驚きました。 先駆者たちが勝ち取ったADA(障がいを持つアメリカ人法)が社会に浸透しており、自ら選択して動ける環境ー自立するための資源が整っています。障がいによっては利用しにくい場所もありますが、自分のニーズを明確に主張することにより、必要なサポートを受けることが出来ます。 「前例がないから出来ない」ではなく、「どうしたら出来るか」の視点で当事者だけでなく地元企業始め社会で考える勉強会も活発に行われており、エンパワメントに直結することを肌で感じています。エンパワメントの手段であるピアカウンセリングが、DIRECTにおけるプログラムの随所に盛り込まれていることも興味深いです。

今後は様々な障がいのある方とお会いして生活における工夫や経験を学ぶとともに、地域社会が障がい者とどう関わっているのかその取り組みを学び、障がいの有無に関わらず誰でも参画しやすい社会を築く一端を担えるよう、取り組んでまいります。

第37期研修派遣生 森雄大さん 研修報告

私は現在アメリカボストンの自立生活センターであるBoston Center for Independent Livingで研修を行っています。 研修では幅広い年齢層、多様な障がいのある人々の自立生活を支援したり、Statehouse(州の役所)にて障がい者関連政策に対してロビー活動に参加したりしています。 研修を通してもっとも強く感じていることは、障がい者が直面している問題に対して障がい当事者が起こすアクションの重要性です。 アメリカの障害者差別禁止法であるADA(Americans with Disabilities Act)では、高等教育や就労の現場といったあらゆる場面で障がい者に対して障がいを理由とした差別を禁止しています。 しかしながら施行されてから28年が経った現在でもアメリカでは日本と同様に、いまだ就労や教育へのアクセスが障がいのない人々と公平であるとは決して言えません。この状況を変えるために、この国では多くの障がい者自身が本来持つ障がいのない人々と同様の市民権を認識し、それらの権利のために声を上げて社会に対して問題を顕在化させています。 その結果公共交通機関へのアクセスなど、実際これまでに権利を勝ち取ってきました。そして彼らの戦いはまだまだ続きます。ロビー活動の現場に間近で立ち会えいることは私にとって本当に貴重な体験となっています。

今後は障がい者自身が自らの市民権を認識する仕組みやアクティビズムの方法論についてより深く学び、障がい当事者がどのように社会を変えていくのか、また日本でどのように当てはめて実践していけるのかについて深めていくつもりです。

ニューストップにもどる
ページトップにもどる